「教育は国家の基礎にして師弟の和熟は教育の大本也」~次世代に期待して~

2016年4月の熊本地震発生以来6年、2020年7月球磨川水害(熊本水害)、
そして近年のコロナ感染爆発と相次ぐ災害に翻弄される現代、同生会もまた翻弄され続けています。
それでも、同生会役員の方々の献身的な御助力のおかげで何とか活動を継続できました。
多くの方々のご協力に先ず心よりお祈り申し上げます。

前回のご挨拶の中でも申し上げましたが、災害の本質は悲惨・残酷なものであり対象を選ばず。
生涯の財産、生命を奪い、夢、希望、幸せ、家族の分断、地域社会の混乱と生態系の攪乱を招くものです。「球磨川水害」の後3度ほど現地見てきた私はその目を覆う悲惨さに圧倒されました。

「ヒト」はその度にそれに耐え、歯を食いしばって難題を乗り越える努力を重ね、克服してきた歴史をあわせ持っています。

 森羅万象を対象に研鑽を重ねる生物学を学んだ私たち同生会会員は、母校熊大で、
森羅万象を知ることを基本に多様な分野で教育を受け、生物学を学んだはずです。
学んだことを一般化し多様な実社会の分野で生かしていくことを心に刻んだはずです。

かつて、第一回ノーベル賞候補にもなった郷土の生んだ偉人北里柴三郎は「世の中に役立つことをしろ」と教え子たちに話していましたが、これは全ての分野に共通するものだと思います。
そのような視点を見失い、暗記中心の学習ばかりで「入力したものを」「いかに早く答案用紙に出力」し、その結果の高得点で「優秀」というレッテルを張られて育ってきた大人たちの犯す「忖度事件」が巷間を賑わし、そして自分の利益を第一に考える人が非常に増えてきたように思います。
この津波は同生会にも確実に押し寄せているのではないかと思います。

しかし熊大には重要なメッセージが残っています。

夏目金之助の「教育は国家の基礎にして師弟の和熟は教育の大本也」です。
生物学科・(生物コース)はずっとその精神が受け継がれてきました。
恩師と一体になった同生会には私たちの青春の原点があります。
熊大の数多くの学科の中で唯一生物学科のみが作成した50周年記念誌(1999年)には
そのことが溢れんばかりに掲載されています。(同生会ホームページでもご覧になれます)
100周年記念誌にはどんなことが載せられるかそんなことを気にかけながら、
多くの先輩諸氏の思いや理念を語り継がれることを祈ります。

最後になりましたが、大学院の学生を抱えながら、120名にも及ぶ3年生4年生を抱え指導されている現生物コースの先生方のご苦労やいかばかりかと感謝申し上げ、また庶務担当をお引き受けいただいたく伊東麗子さんをはじめ多くの役員、委員さんにも厚くお礼申し上げたいと思います。

同生会を支えていただいく皆様のご健勝を祈ります。今後ともよろしくお願いします。

同生会会長 高添 清(学部19回生)

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